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【悩みどころと逃げどころ】ちきりん&ウメハラの伝説の共著【書評】

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  • ちきりんのファン
  • ウメハラのファン
  • どっちも知らないけど、学校教育や社会の価値観に不満や疑問を感じたことがある
  • 逃げることをネガティブに思えて、行動するのが怖い
  • 今の仕事が自分にとって天職なのかわからない

こんな人はこの記事を読めば、いままで言葉にできなかった漠然とした不満や思いが解決し、今日から生き方が変わります。

なぜなら今回紹介する「悩みどころと逃げどころ」は、学歴エリートのちきりん、落ちこぼれのウメハラがお互いの立場から「学校教育」「生き方」「逃げること」をテーマに4年間、徹底的に話し合った末にできた本だからです。

ちきりんってだれ?
月間200万PVを誇る「Chikirinの日記」を書く社会派ブロガーであり、シリーズ累計38万部を売り上げた「自分の頭で考えよう」の著者。もともとは証券会社で勤務し米国へ留学。外資系企業勤務を経て2011年から文筆活動に専念している、いわゆる学歴エリートです。

ウメハラってだれ?
梅原大吾。17歳で格闘ゲームの世界チャンピオンになり、ギネス認定の日本初のプロゲーマーです。格闘ゲームの「ストリートファイターシリーズ」をメインに活躍しており、2004年に行われた世界大会で見事な逆転劇を演じた通称「背水の逆転劇」は累計で2000万回以上再生されています。ゲームの世界では少年期から才能を発揮していましたが、学校ではほとんど寝ていた、いわゆる落ちこぼれです。

※背水の逆転劇の動画。白い胴着を着た男性キャラがウメハラが使う「ケン」というキャラです。

ちきりんはこの動画を見て「なんだこの熱狂は…」と梅原大吾に興味を持ちました。

ウメハラはほかにも、プロゲーマーとしての仕事術を書いた「勝ち続ける意志力」を執筆。著書はゲーマー本ではなく、一流のビジネス本として各方面で絶賛。
その年のKindle年間ランキングで1位に輝いた経歴もあります。

この対象的なふたりが「学校教育」をテーマに、お互いの視点から4年間の時間かけて対談。

しかもこの対談、ほかの対談本とはわけが違います。

ふたりの対談はまさに「対(決)談(義)」
お互いが対立している意見のみをテーマに話し合っています。

この記事では本書のメインテーマである学校教育への疑問のほか、生き方や逃げ方を紹介します。

この記事を読めば言葉にできなかった学校や社会への疑問や不満が明確化し、考え方と生き方が変わります。

それではいってみましょう。

この記事の目次

「学校って行く意味あります?」vs「大アリです」

学歴エリートのちきりんとずっと寝ていたウメハラ。

しかし「学校って行く意味あります?」と聞いたのはちきりんで、「大アリです」と答えたのはウメハラです。

学校体験がまったく違うふたりが、まったく違う答えを出したのは、ふたりが見て経験してきた世界があまりにも違うからでしょう。

ちきりんは学校に真面目に行き、先生の言うことを素直に聞き、従順に生きてきた人が40歳くらいでいきなりハシゴを外されて途方に暮れているのを見たことがあります。
だから「学校って行く意味あります?」と思っているんです。
しかも、学校や先生の言う通りに生きてきた人は、みな考える力を奪われており、自分の頭で考えられないと語ります。

そんなちきりんでもウメハラのことは「今まで関わってきた”いい大学”をでた人と比べても、スバ抜けて考える力が高い」と評価します。

だからなおさら学校なんて行く意味あるの?と感じているんです。

ウメハラは学歴差別の世界で生きてきた

ウメハラは学校に行く意味がないと考える若者が仮にいたとしても「できるだけ行った方がいい」とアドバイスすると言います。

それはウメハラが学歴による差別を受けたり、それを目の当たりにしてきたからです。

たとえばウメハラがコンビニでアルバイトをしていたとき、レジからお金がなくなったら学歴がないだけで真っ先にウメハラが疑われて、本部にまで呼ばれたといいます。
もちろん、まったく身に覚えはありません。

ちきりんは「それはたまたまだろう」と言いますがウメハラは「差別っていうのは99回くるだろうなと予想してるところに、1回でも来たらトラウマになる」と語ります。

さらに、まだプロゲーマーが誕生していなかった頃、ゲームに打ち込んだ挙句にこのままでは食っていけないとわかり、いろいろな職業に就く選択肢を考えました。
しかし自分には履歴書に書ける経歴がまったくないことを思い知りました。

ウメハラは大学さえでておけば自分が受けたような学歴差別で惨めな思いをすることはなかっただろうし、ゲームで食べていけないとわかったときに色々な選択肢が取れただろうと言います。

好きなことを続けるのは解けない呪いのようなもの

ウメハラは14歳で格闘ゲームの日本一になり、17歳では世界チャンピオンになりました。

※アメリカで行われた世界大会の様子は46:25〜

https://www.youtube.com/watch?v=gau72vuxpYs

世界チャンピオンにもなり、テレビの取材も受けました。
それでもゲームで食べていけるわけではありません。

でも、それを知ってもゲームが好きだからやめられない。

もし仮に親が止めていたとしても、あとから振り返って「あのまま続けていたらどうなっていたんだろう」と後悔が残っただろう。つまり続けても辛いし、やめても後悔するような状況です。

これはある意味「解けない呪い」だと語ります。

ゲームが好きでゲームだけは誰にも負けない。
そんな思いを抱えたまま生きていましたが、20代前半で「マズい、やっちまったな」と感じました。
ゲームで世界一になっても食えねえじゃん、と。

その後、ウメハラは麻雀のプロを目指したり、介護の仕事に就いたりしました。

取り柄がない人は学校に行け

ウメハラは「学校なんて行く価値がない」と言えるのはよほど頭がいい人。もしくは猛烈に好きなこと、やりたいことがある人だと言います。

たとえばアニメーターは給料が安くて過酷な仕事ですが、好きな人にとってはアニメーターという仕事は天職だと思えます。

得意なことや何か才能がある人、誰にも負けないくらいやる気がある人は高校や大学に行かなくてもいい。
でもそうじゃない人は「とりあえず学校に行って真面目に生きていれば、最低限、惨めな思いはしなくてすむよ」とウメハラは語ります。

しかしちきりんはそれを「ものすごく残酷で上から目線」と咎めます。

さらに続けて学校に真面目に行くことで能力がない人は一層不利になるとも言います。

なぜかというと、能力がなく自分で考えることができない人が奨学金を借りて大学に行っても、学校では自分で考えることを教えてくれない。

つまり一層のハンデを背負って人生を生きなければいけないってことです。だからウメハラみたいに「とりあえず学校に行って、大学まではでておけ」とは全然思えないと語ります。

ちきりんの意見を聞いてもウメハラは「能力がある人は学校に行かなくてもいいと思う。でも能力がないのにゲームの世界に進んできて痛い目に合っている人を見てきているから、やはり学校に行かなくていいとは言えない」と話しています。

ふたりは書籍出版後にイベントでも対談していますが、この意見はどこまで突き詰めていっても、交わることはありませんでした。

ちきりん「何より結果が大事!」ウメハラ「ん?結果よりプロセスですよ」

ちきりんは結果をださずにプロセスが大切だと言う人は大体仕事ができない人だと断言します。

たとえばブログでも毎日記事を更新すれば少しづつ前に進んでいる感覚は得られます。しかし結果がでるかどうかは別の話。

プロセスを重視するあまり結果にこだわらないことは問題です。
ちきりんは「プロセス重視だと、船はちょっとずつ沈んでいく」と語ります。

プロセスがなければ結果は伴わないとウメハラは断言する

ウメハラも少年期は「勝てればいい」というプレイスタイルでゲームセンターに通っていましたが、ある時期から考え方がガラッと変わりました。

格闘ゲームでは、自分の分身となるキャラクターを選びます。
少年期のウメハラはキャラを選ぶ基準は簡単で強いキャラ。その簡単で強いキャラを使って対戦に勝っていると、当時のゲームセンターのまとめ役のような人に肩を叩かれました。
「君、強いね。うん、強い。でもさ、それはもうわかったから、ちょっと使うキャラクターを変えてみたら?たとえば、これとか」
その人に勧められた通りにキャラを変えてみたら、すごく面白い。同じゲームなのに奥深さがまるで違う、と感じました。

しかし、そのキャラを使っているあいだは全然勝てません。でも勝てないのに、自分は弱いのに、ゲームセンターのほかの先輩が話しかけてくれるようになりました。

先輩たちと話しているうちに、以前は簡単で強いキャラで勝っていたことが全く評価されていなかったこと、それがいかにくだらないことだと思い知らされた、と語ります。

勝負事では勝つだけではなく、勝ち方も大切だと身に染みてわかったエピソードです。

そのキャラに慣れたあとは前よりも勝てるようになり、無双状態になったそうです。

ちきりんのような学歴エリートは、いかに簡単で勝てるか探すのが得意

一方で学歴エリートたちはちゃちゃっと80点を取れる勉強法を探すのが得意です。

たとえば日本史は好きだけど配点が低いから世界史を選んだり、生き物が好きだけど物理の方が得意だから物理を選ぶといったように、学歴エリートは簡単に勝てる方法を選びます。

ゲームでもそのやり方をする人が多いのですが、それでは一時的に勝てても勝ち続けることはできないとウメハラは言います。

ゲームで勝ち続けるには、ほかのプレイヤーから尊敬されるようなプレイじゃなければいけません。
尊敬を集めるためには勝った事実よりも勝ち方が大切です。

なぜ尊敬が必要かというと、練習相手がいなくなるから。
まず前提に格闘ゲームはコンピューターよりも圧倒的に人間の方が強いので、練習相手になってくれる人間がいなければ強くなれないからです。

自分だけ勝てればいい、そのためにはどんなことをしてもいい、プロセスなんてクソくらえだ!というプレースタイルでは次第に周りから仲間がいなくなり、練習相手も見つからない状況になります。

アフリカのことわざに
「早く行きたければひとりで進め。遠くまで行きたければみんなで進め」というものがあります。格闘ゲームで世界の強豪を相手に日本人がトップで君臨するためには、みんなで進まなければいけなかったのです。

これはゲームに限った話ではありません。日本では企業でも日本人の男性が重要な意思決定をしたがります。

それも「仕事が第一」という価値観の日本人男性同士が群れになり、意思決定をしています。

その理由は「早くいけるから」です。

仕事が第一という価値観同士で意思決定すれば、摩擦も少なく効率的にさっさと進むことができます。

しかし多様性がなければ遠慮や固定観念が広がるばかりで、組織として成長が止まってしまいます。そのような組織は女性や外国人が入ってきたら、一気に崩れるとちきりんは言います。

早く進むことばかりに特化した組織は、遠くに進むレースでは勝つことができません。

ちきりん「つらい時は逃げたらいいんです」ウメハラ「え、逃げたらダメでしょ!?

ウメハラは逃げることは悪いことだと思っており、簡単に逃げたらダメだという考えでした。
一度でも逃げたら次も簡単に逃げる、だから一度だって逃げたらダメなんだ、と。

ウメハラに憧れゲームの世界にきた人間が、あきらめてほかの道を探そうと相談されたとき、こうアドバイスをしました。

「おまえはたぶん、これまでいろいろなことから逃げてきたよね。学校からも逃げ、アルバイトからも逃げ、まともな世界に居場所がなかった。だから今ここにいるんじゃないのか?ゲーム以上に好きなものなんて今までなかったんだろ?ゲームしかないのに、ここから逃げたら後がつらいぞ。もう少し頑張れよ」

これをちきりんは「それは厳しすぎない?」と疑問を投げかけます。

ちきりんがいう「逃げる」は自分の居場所を見つけるプロセス

ちきりんが敢えて「逃げる」という表現を使うのは、世の中絶対に逃げちゃダメだと考えている人が多く、それで苦しんできている人を見てきたからだと話します。

ちきりんは自身の「Chikirinの日記」だって、逃げて逃げて最後に見つけて逃げ込んだ場所。勝てないとわかったらそんな場所には居続けず、勝てる世界を探しにいった結果。これも逃げることと同じじゃない?とウメハラへ語りかけます。

つらかったら逃げたらいいんです。
あがいて、あがいて、あがいたすえに、自分で「ああここだ」と見つけた場所なら、そこが自分が一番輝ける場所。

やめることや逃げることは自分が本当に好きなものを見つけるためのプロセスだから、やっちゃいけないことではないんだと語ります。

この考えを受けて、ウメハラもハッキリと「考えが変わった」と出版後の対談動画は言っています。

逃げてる自分がいちばんつらい思いをしている

それに逃げることはそんなに簡単なことじゃないんですよね。だって「私って逃げてばかりで、なんてダメなんだ」と感じている本人がいちばんつらいじゃないですか。

「あいつは逃げてばかりだ。どこに行ってもダメなやつだ」と他人に思われるのもつらいこと。

それでも逃げることで自分がちょっとだけ頑張れることが見つかることもあって、それが「天職」だったんだと思えることもあります。

人間は周りから評価されて初めて自信がもてて「これが自分の好きなこと」だと思えるものです。

評価されることで、得意が好きに変わります。

天職は褒められた先にある

もし好きなことが天職になるなら、スティーブ・ジョブズはスピリチュアルの指導者、ゴッホは聖職者、ココ・シャネルは歌手、ナポレオンは小説家になっていました。そうしたら誰もここまで有名にはならなかったでしょう。

多くの人にとっての「俺にはこれしかない」なんて、ある種の熱病であり、熱病にかかっているうちは、それが人生のすべてだと思えます。

で、頑張る。

頑張った人のうち才能を併せ持っていて、かつ尋常じゃない努力ができた人だけが成功して、それは唯一無二のものになる。

だけど、夢破れた人にもほかに道はいくらでもあるし、あったと思います。

大事なことは何が自分の天職だったのか考えるよりも、自分が選んだ道を天職だと思えるかどうかです。

大人の仕事は「人生って楽しいんだぜ!」って背中を見せること

ウメハラはプロゲーマーの仕事は強さだけを追い求めることじゃないと語ります。
強さを追い求めることとは結局、開発者のミスを探すこと。

ようするに、開発者がゲームの調整を間違えていて強力な技やキャラを発見すれば、見つけた人は対策されるまでのあいだ勝つことができますから。

でも、そんな遊び方しかできないのはつまらないと言います。

 プロゲーマーの仕事は「このゲームはこんな遊び方をするとこんなに面白いんだぜ!」と、ゲームの楽しさを教えることです。
たとえるなら、子供の頃、遊び尽くされた公園で遊びのルールをつくったり、新しい遊びを開発することが得意な子がいたでしょう?プロゲーマーの仕事はこれといっしょです。

プロゲーマーだから勝つのは大切。でもそれだけに目を向けて、獲得した賞金で競い合うようなことではいけないんです。

ちきりんは、それって人生も同じことじゃない?と問いかけます。
学校や大人の役割は「こうやって遊ぶと、人生楽しいよ!」って背中を見せることです。
でも学校では「こうやったら楽しいよ」じゃなく「こうやったら人生の勝負に勝てる」ってことしか教えません。

プロゲーマーがファンに「このゲームはこうやって遊べばサイコーに面白いんだぜ!」って示すように、学校の先生も「人生はこうやって過ごすとサイコーに面白いんだぜ!と自らの生き方を持って示してくれたら、学校ってめっちゃ楽しくなりますね!

【悩みどころと逃げどころ】まとめ

  • いいからやれ!という学校教育では考える力を奪われる。
  • 逃げることは自分の居場所を見つけるプロセス。決して悪いことじゃない。
  • 勝てればいい、という生き方だと遠くにはいけない。

本書にはほかにも
・アラブの大富豪が幸せとは思えない。一生、努力する必要がないんだから。
・大きな船を降りるのは不安だったけど、降りたらなんとかなるって気づいた
・私たちは既製品の「いい人生」を追い求めてるわけじゃない。
・「家族のため」「親のため」は人生の思考停止に逃げ込む呪文。
・勝てない競争を避けるのも勝つための一つの方法だと思いません?
・あがいて、あがいて、あがき尽くすと、自分の器が見えてくる。
ひとつでもココロに刺さったら、本書を読んでください。今日から生き方が変わります。

「悩みどころと逃げどころ」AmazonAudibleの聴き放題対象となっています。

このような対談形式の本はオーディオブックで聴く方がスッと頭に入ります。

それは男女ふたりのナレーターが実際に会話形式で読み上げてくれるので、実際の会話をイメージできて文章で読むよりも格段に共感しやすく理解できるからです。

オーディオブックに関する記事も書いているので、ぜひ読んでみてください。

読書嫌いの僕を本好きに変えたおすすめの読書法【聴く読書:Audible】

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