■諦めた経験を後悔している。
■挑戦したいことがあるが、時間が足りない。
■人生に満足感がない。
こんな風に悩んでいる方にはオススメの一冊です。
なぜなら著者の為末さんは、高校三年生で大きな諦めの経験をし、そのことをキッカケに諦めることについてトコトン考え抜き、ぶつかりあってきた経験をしてきた人物だからです。
この「諦める力」はインフルエンサーのイケハヤさん、マナブさんが絶賛していることでも有名です。
この記事ではそんな「諦める力」の中から諦めること=悪いことという誤解を解き、得られるメリットを解説しています。
この記事を読めば諦めることの悪いイメージが消え、自分の人生で本当に大切なものはなんなのかを考えられるようになります。
そして大切なものに優先順位をつけて、行動できるようになります。
この記事が自分の人生をみつめなおすキッカケになれば光栄です。
著者:為末 大さんの紹介
為末さんは、男子元陸上競技選手です。400mハードル日本記録保持者で、2001年世界陸上エドモントン大会・2005年世界陸上ヘルシンキ大会の男子400mハードルにおいて、世界陸上選手権の2大会で銅メダルを獲得。現在はスポーツコメンテーター・タレント・指導者などで活動中。株式会社R.project取締役。株式会社侍 代表取締役をしています。
2022年6月現在、ツイッターフォロワーは48万人を超え、アスリート界でのさまざまな社会問題に対するコメントが注目されています。
この「諦める力」は10冊以上ある著作のなかでもっとも支持され、5万部(電子書籍含む)のベストセラーとなり、「子供に読ませたい」という親御さん、「生徒に読ませたい」という学校関係者からも反響の大きかった一冊。
諦めることは悪いことじゃない
あきらめると聞くと悪いイメージを持つ方が多いと思いますが、間違っています。
たしかに辞書で諦めるを調べると「見込みがない。仕方がないと思って断念する」意味だと書いてあります。しかし仏教では「諦める」には別の意味もあります。
それは「明らめる」です。これは心理や道理を明らかにして、よく見極めるという意味。
このように「あきらめる」という言葉は悪い意味だけではありません。
本書でも為末さんはこのように語っています。
こうした本来の意味を知ったうえで「諦める」という言葉をあらためて見つめ直すと、こんなイメージが浮かび上がってくるのではないだろうか。「自分の才能や能力、置かれた状況などを明らかにしてよく理解して、今、この瞬間にある自分の姿を悟る」諦めると言うことはそこで「終わる」とか「逃げる」ということではない。
引用元:本書3ページ
【STORY1】初めての「諦める」経験
為末さんは8歳の頃、姉の影響で陸上を始めました。始めてすぐにメキメキと頭角を表し、中学3年では複数の種目で中学ランキングの1位となりました。
しかし順調だった陸上人生は高校3年で狂い始めます。
高校3年のインターハイで、為末氏は100m、200m、400mの3種目にエントリーしていましたが、顧問の先生が100mのエントリーを黙って取り消してしまいました。
100m走といえば数ある競技の中でも飛び抜けて参加者が多くライバルが多い陸上競技の花形。為末さんは激怒しました。
しかしよくよく話を聞いてみると、100mのエントリーを外した理由は、為末さんの体を思ってのこと。
瞬発力と爆発的なスピードが必要な100m走。為末さんの身体はその刺激に耐えきれず、普段から肉離れを繰り返していたんです。
先生が100mのエントリーを取り消した理由は、高校最後の年に肉離れをさせたくないと思いから。その先は人生で100mを走ることはなくなりました。
そのことを為末さんはこう語ります。
「高校三年生、十八歳の僕としては、人生の転機とも言える苦しい決断だった。」
引用元:本書17ページ
【STORY2】内心では努力しても無理かもしれないと感じていた。
為末さんは中学3年までは記録もグングン右肩上がりで伸びていました。でも中学3年の自己ベストと高校3年の自己ベストはほとんど変わりません。記録が伸びていませんでした。
逆にライバルだった選手はドンドンと記録を伸ばして追いついてきています。自分の記録とライバル選手の記録をグラフ化すると「これはどう考えても抜かれるよな」と内心で感じていました。
さらに世界大会で日本一の高校生たちが世界では歯が立たずに予選落ちしていくのを目の当たりに…。
そして努力しても100mでトップに立つのは無理かもしれない。初めてそんな感覚を味わいました。
【STORY3】諦めたすえに出会った400mハードル
100mでは無理かもしれないと感じていた為末さんは、顧問の先生に言われ400mハードルを注目していました。
すると衝撃が走ります。
世界のトップが走る国際大会なのに、ハードルの前でチョコチョコと歩幅を合わせるように無駄な動きをしている選手が金メダルを取っていたのです。
その時に抱いた率直な感想は「100mよりも、400mハードルの方がずっと楽にメダルを取れるのではないか」でした。
楽をしようが苦労しようが、金メダルは、金メダル。
そう考えて400mハードルに打ち込むようになっていきました。
しかし花形種目の100mからマイナー種目の400mハードルに移ることを、感情で割り切れたわけではありません。
「割り切った」
「諦めた」
「逃げた」
こうしたネガティブな感情を心の奥に隠し持ち、大きなストレスを抱えていました。
しかし400mハードルに打ち込むうちに「100mを諦めたのではなく、100mは僕に合わなかったんだ」と、自然に考えられるようになったといいます。
なぜ心境は変化したのでしょうか。
【STORY4】勝つことだけは諦めたくない。
100mを諦めたのは、400mハードルという勝てるフィールドに変えたからです。つまり勝つことを諦めていないから100mを諦めたんだと思えるようになったんです。
当時400mハードルは参入国も少なく競技人口も少なかったので、戦略も洗練されていませんでした。
為末さんの目的は陸上競技でメダルを取ることです。
だから花形競技の100mを諦めて400mハードルに移れました。
諦める力を手にすると生き方の軸ができる
人によって目的は違います。目的を達成するための手段として、仕事をしている人は多いかと思います。
しかし手段と目的がすり替わってしまい、自分にとってなにがいちばん大切で、なにがいちばん守りたいものなのかわからなくなる。そんな人をよく見かけます。
仕事に熱中していると仕事のことしか考えられなくなり、家庭がいちばん大切だと言っていたのに家庭で過ごす時間が極端に少なくなる人もいます。
はっきり言うと仕事と家庭はトレードオフです。
どちらかを完全に諦めろというわけではありません。でも自分はいまどちらに比重をおいて生きていたいのか。
それを明確にしておくだけで、生き方に軸のようなものができます。
手段を諦めることは悪いわけじゃない
人生の目的を見つけたら、それを達成する手段を考えます。為末さんがメダルを取ることを目的に100mを諦めて、400mハードルに移ったように。
目的が多いと達成する手段が明確にならないのでおすすめしません。
たとえば、
■仕事も諦めない。
■家庭も諦めない。
■自分らしさも諦めない。
■なぜなら幸せになりたいから。
このようになんでもかんでも取りに行くと、かえって幸せから遠ざかります。
むしろこれだけは絶対に諦めないものひとつだけ決めて、それ以外は「そこそこでいいや」と思えるようになりましょう。そうすれっば自分なりの幸福を味わえますよ。
人生のプライオリティ(優先順位)を大切にしましょう。
諦める!?せっかくここまでやったのに!?【サンクコスト効果の呪い】
サンクコスト効果(埋没費用)
過去にリソースを投資したもののすでに回収不可能であり、さらに投資を続けることは損失につながるにもかかわらず、何かをやったり、継続したりする心理効果を指す。
たとえば映画館に行き1800円の映画を映画館で鑑賞する。
その映画はとてもつまらないが「1800円も払ってしまったし、やめるのはもったいない…」と最後まで観る。
すると、映画を観た2時間が無駄になる。
もし30分観た段階で引き返せば、1時間30分もの時間が手に入った。
このようなサンクコスト効果は無視するのが鉄則、と経済学の常識になっている。
ですが日本人はサンクコスト効果を無視するのが苦手だと言われています。
成功する確率が低いことは薄々感じているが、そこまでに莫大な時間と費用を費やしているので、戻る判断ができない。
「せっかくここまでやったんだから、ここで諦めるのはもったいない」
そしてズルズルと時間と費用の負債を垂れ流してしまいます。
「これを諦めたら自分じゃない」は、ただの思い込み
「自分自身、アスリートのほかにもビジネスパーソンとして生きる道だってあったはずだ」と為末さんは語ります。
一見すると全然違う生き方だとしても、ゴールが同じことなんてよくあります。ゴールにたどり着くための道はひとつだけではありません。
この感覚さえ持てれば「この道を諦めたら、人生のゴールには辿り着けない」という思い込みから解放されます。
さらに為末さんは「今のことを諦めて違う道に移るとき、まったくのゼロからのスタートではない。感覚的に7割くらいの場所から再スタートができて、あとは足りないものを埋めていくだけ」だと言います。
諦めた人は寛容になれる
アスリートは自分がどこまで行けるか理解しているが、周囲の期待に応えようと演じている部分がある
為末さがTwitterでこうつぶやくと「がっかりした」「それを言ったらおしまいですよね」と怒りの反応が返ってきました。しかもそのほとんどは10代、20代前半の若い人からです。
でも反対に30代、40代以上の人からは「わかる」という反応が返ってきました。なにかを諦めたことがある人は、他人にも寛容になれるんです。
「がんばっても無理なことがある」
これは決して夢を否定しているわけでも、努力を否定しているわけでもありません。
周囲からの「やればできる」「夢はかなう」「諦めるな」という期待は、本人にとっても辛いこともあります。そう思えるのはなにかを諦めた経験があるかどうかです。
諦めることで、違う道を歩ける
若いうちに自分には何があうかあわないか、それがわからないのは仕方ありません。
だけど自分が鹿に生まれたのに犬の方が人気があるからといって、犬になりたいなんて不可能です。鹿はどう懸命にがんばっても、犬にはなれません。
「夢はかなう」
「なんにでもなれる」
「可能性は無限大だ」
こういう考え方を完全に否定するつもりはありませんが、ダメなものはダメとハッキリ言ってあげられるのも優しさです。
どこまでいっても、自分は自分にしかなれません。
続けること、やめないことは尊いことではあるけれど、それ自体が目的になってしまうと、自分というかぎりある存在の可能性を狭める結果になります。
前向きに、諦める。そんな心の持ちようもあるということを、為末さんは伝えたいのです。
【諦める力】まとめ
本書にはほかにも
・せっかくここまでやったんだからという呪縛
・あなたには向いていないと言ってくれる人
・迷ったら環境を変えてみる
・AKB総選挙で生まれたそれぞれの物差し
・あなたのためを思ってには要注意
といった内容が書かれています。気になった方はぜひ本書を手に取ってみてください。
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読書嫌いの僕を本好きに変えたおすすめの読書法【聴く読書:Audible】
諦めることはネガティブなことじゃなく、自分の可能性は広げる行為です。